takanikoniko’s blog

本とお出かけと時々ドール。

想像するだけでも汗をかくけれど、本番からは逃げられない! ドン・グリーン「本番に強くなる」感想。

ドン・グリーン

「本番に強くなる

 

本番に強くなる! ~演奏者の必勝メンタルトレーニング~

 

 

 

を読んだよ!

 

 

これまでに緊張だったりプレッシャーだったりコミュ障だったりと

メンタルに弱いことをさんざん露呈し、関連する本も色々と読んできましたが、

 

takanikoniko.hatenablog.com

takanikoniko.hatenablog.com

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 今回のはちょっと異色の「本番」本、「本番に強くなる」

演奏者の必勝メンタルトレーニンです。

 

演奏者…ってあれだろ、プロのミュージシャンとかだろ?

そんな人でも緊張するのかよ?

 

と思う人も多いでしょう。

します。そりゃもうめちゃくちゃ緊張します。

それこそ、メンタルのトレーニングが必要になるくらいに。

 

自分も小さいころにピアノの発表会に出たことがありますが、

あの時の緊張って半端ないですよ。

何回練習したって自信なんか持てないし、いざ本番となったら逃げだすことなんて

できないし、観客の視線は集中するし、視線を遮るものもない。

「俎板の鯉」なんて表現すら生易しい。

あれだ、自分は「俎板の鯉」と「それを捌く料理人」を同時にこなすようなもんです。

もしかしたら、「お前の死刑判決文を書け。それの出来が良ければ助けてやる」

と言われた囚人かもしれない。

まあ「舞台に立ったことがある人」なんて少数かもしれません。

一番身近で起きうる状況だと、「面接官が複数の採用面接」が一番近いでしょうか。

 

この本は「本番までにするべきこと」をちゃんとスケジュールを立てて紹介し、

身に着けるべきスキルとして

・意欲

・平常心

・思考習慣

・感情マネジメント

・注意力

・精神統一

・回復力

の7つを挙げているのですが、注目したのは7つ目の回復力ですね。

これは回復力というとちょっとわかりにくいのですが、

これは「ミスった時に素早く立て直す力」です。

これを鍛えられるというだけでも、この本に価値はあると思いますね。

 

 

本番に強くなる! ~演奏者の必勝メンタルトレーニング~

本番に強くなる! ~演奏者の必勝メンタルトレーニング~

 

 

 

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ムラージュ、壮絶にして至高の教材であり芸術作品。 石原あえか 大西成明「日本のムラージュ」感想。

石原あえか

大西成明

「日本のムラージュ

 

日本のムラージュ 近代医学と模型技術 皮膚病・キノコ・寄生虫

  

を読んだよ!

 

 

まずは上に表示されているこの本の表紙を見てほしい。

一見しただけで、なにやらやばそうな雰囲気を感じると思う。

その感覚は正解だ。

なにしろムラージュは、かつて皮膚科などの領域において用いられた

病気の蝋製標本なのだ。

 

名古屋大学博物館で初めて実物を見たとき、そこに「患者がいる」とまで感じさせる

圧倒的な存在感、衝撃に驚いた。

病気で鼻の欠けた患者の顔、湿疹で赤くなった肌、発疹による皮膚の隆起…

それは、今、目の前にこの病気の患者がいるといわれても信じたくなるくらいなのだ。

www.num.nagoya-u.ac.jp

そのインパクトは忘れられないだろう。

 

製法は「実際の患者に対して石膏を使い型を取り、彩色する」というものであり、

「蝋」という脆い材料のためか、日本にはもう製作できる人間はいない。

 

この本は、日本におけるムラージュ製作者とその歴史、そしてムラージュの持つ

精巧さや雰囲気を写真で表した本である。

それは読む人間に対して正確に伝わる。同時に、そのグロテスクさ故に

人には薦めにくい。

一方で「人間の腕でここまで表現できる」ということを示す最高峰でもあると

思うので、美術関係の人には一読の価値があると思う。

 

日本のムラージュ 近代医学と模型技術 皮膚病・キノコ・寄生虫

日本のムラージュ 近代医学と模型技術 皮膚病・キノコ・寄生虫

 

 

 

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この本を崇めよ! 宮永忠将「空想世界構築教典」感想。

宮永忠将

「空想世界構築経典

 

空想世界構築教典 増補改訂完全版

 

  

を読んだよ!

 

「空想世界構築教典」という中二病感あふれるタイトルの本。

え、なにのキモオタしか読まない感じ…とお思いでしょうが、その実態は

最強の知識集合体とでもいうべき本でありました…

これ書くのにどれぐらい資源投入したんだ?

 

この「空想世界構築教典」ですが、中身のバージョンアップに伴い

3つのバージョンが出版されております。

①「空想世界構築教典」

②「空想世界構築教典 完全版」

③「空想世界構築教典 増補改訂完全版」

今回読んだのは②の「完全版」ですね。

いやもうほんとすごいのよこれ。いろいろな設定を考えるのに必要な基礎知識が

いっぱい詰まってて、読んでるだけでも楽しいし、読みながら考えるともっと楽しい。

 

この本を手にする人って、自分でストーリーを考えようとする人くらいだと

思うんだけど、俺はあえて「物語を考えない人」にも薦めたい。

特に中学生とか高校生で世界史をやり始めたころの人に薦めたい。

だってこの本、世界史を理解するのにいい情報がたくさん詰まってるんだもの。

政治と宗教の話、地理の話、戦争の話とか世界史の理解に役立つぜ!

 

まあ魔法の話とか幻獣の話とかがあるから全てのページが世界史理解に役立つとは

言わないが、ちょっとだけでも読んでおくといいと思うよ!

とりあえず一番新しい増補改訂完全版をお薦めしておくね。

 

空想世界構築教典 増補改訂完全版

空想世界構築教典 増補改訂完全版

  • 作者:宮永 忠将
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2016/12/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

 

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本読め!それも徹底的に! M.J.アドラー C.V.ドーレン「本を読む本」感想。

M.J.アドラー C.V.ドーレン

「本を読む本

 

本を読む本 (講談社学術文庫)

 

 

 

を読んだよ!

 

著者の「アドラー」を見ると 

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

を書いた方のように思われますが、別人でございます。

今回のアドラーさんはこちらです。

ja.wikipedia.org

さて、「本を読む本」のタイトルから何となく想像がつくかと思われますが、

この本は一般的に言われるところの「読書術」に関する本です。

「読書術」についての関する個人的な印象は、どちらかというと

読んだ後の「アウトプット」についてページが割かれていることが多いように

感じていますが、この本はさにあらず。ひたすら「読む」ことに特化しています。

 

そのためか、おそらく学校などで習う「読み方」とは違うことも多くあります。

一番衝撃だったのが

「知らない単語に出会ってもすぐに辞書を引くな」でしょうか。

大抵の学校だと、

「分からない単語がでたら辞書を引きましょう(いまなら「検索しましょうかな?)」

というところを「最初は表面的でも良いから最後まで読め」という感じで話し、

つまづきの元である分からない箇所は気にせず、通読しろというのです。

え、それでいいの…?と思ったのですが、この本では「本は徹底的に理解出来るまで

何度でも読む」ことが前提になっているので、1度飛ばしたくらいでは問題にならない

のですよ。

逆に言えば「何度でも読む」ことが前提になっている以上、

「早く読みたい人」や「大量に読みたい人」にはこの本のアドバイスは時間がかかり

過ぎるのですよね。もちろん、理解度をテストした場合はこの本に従った方が

良いのでしょうけど。

 

まったく本を読まない人には向かない本ですが、「読んだのに中身が理解できない…」

等とお悩みの方などはどうぞ。

「本の内容を理解するための読書術」は、これ一冊あれば大丈夫でしょう。

 

本を読む本 (講談社学術文庫)
 

 

 

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自分が自分であり続けるために マルクス・アウレーリウス「自省録」感想。

マルクス・アウレーリウス

「自省録

 

自省録 (岩波文庫)

 

 

 

を読んだよ!

 

第16代ローマ皇帝マルクス・アウレーリウスによる著作、

ストア哲学の名著である「自省録」です。

(名前の表記は揺れが見られます)

ja.wikipedia.org

さてこちらの自省録ですが、まずは訳者さんの言葉を紹介しましょう。

マルクス・アウレーリウスはエピクテートスのあまりにも忠実な弟子で

あって、そこには思想的になんの新しい発展もない。

…訳者がする評価としてはあっさりとこき下ろしてるよなこれ。

ストア哲学そのものについても、

その説くところの物理学も論理学ももはや我々にとって

ほとんど意味がない。

全分野の否定はしてないけども、結構言うよね。

まあ学問なんて古い時代のやつとかはそんなものかもしれないけどさ。

これは我々の内に新しい生命を湧き上がらせるていのものではない。

(中略)

全人格の重心のありかを根底からくつがえし、

おきかえるような契機を与えるものが必要である。

それはストア哲学にはない。

ほんっとにボッコボコやな!訳者の言う台詞かこれ…?

大体、こんなに叩かれるやつが何で今まで残っているのか。

このストア哲学も、一度マルクスの魂に乗り移ると、

なんという魅力と生命を帯びることであろう。

それは彼がこの思想を身をもって生きたからである。

生かしたからである。

彼は書斎人になりたくてたまらなかった。

純粋の哲学者として生きるのを諦めるのが彼にとって

いかに苦痛であり、戦いであったかは「自省録」の随所に

うかがわれる。

そう考えると、この本は哲学の本であると同時に自伝でもあり、

闘争の記録なんだなあ…そりゃ面白いわ。

 

で、これは俺としてはどういうう風に思うのか。

上の事をもろもろ考えると、決して新しい力とか意欲を湧き起こすような本ではない

というのはほぼ同意なのだ。

なんだろうな、0を1にするようなものではないと言えばいいのか。

新しいインスピレーションとか、発想とかの起爆剤にするのはちょっと難しい

と思う。

俺は、大体の人間は0という事は無く1から0、時にはマイナス面に落ち込みながら

生活していると思っている。

この自省録は、0を1にはしないが常に1であり続けるための本であり、

時には-1になったものを0にしてくれる本だと思う。

そうの意味では精神安定剤としての効果は抜群だと思うから皆読むといいよ!

 

自省録 (岩波文庫)

自省録 (岩波文庫)

 

 

 

 

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写真の読み方なんて存在するんか… 名取洋之助「写真の読み方」感想。

名取洋之助

「写真の読み方

 

写真の読みかた (岩波新書)

 

 

 

を読んだよ!

 

まず著者の名取洋之助さんについての詳細はwikiを紹介するとして、

ja.wikipedia.org

超ざっくりと紹介すると、戦前戦中戦後と激動の時代に報道写真を主に扱い続けた

写真家です。

この本は、本人の遺構を元に構成されています。

写真に対する考えと、紙面に載せる際の技術的な面という

二つの事に対して書かれた本といえるでしょう。

あくまでも「読み方」であって「撮り方」ではないのですよ、この本。

 

さて、本のタイトルは「写真の読み方」ですが、そもそも

「写真に読み方」なんてあるんかいな?

という話ですよね。

読み方なんてあるのかないのか。結論から言うとあります

もっと正確に言えば「写真の嘘を見抜く力」とも言えるでしょう。

私たちの目にふれる写真は、カメラマンと、

カメラが写した写真を使う編集者と、

編集者がいつも念頭においている読者と、

この三者が要求する嘘の統合された結果

と著者は言っています。

カメラやレンズの性能、編集者の説明書き、読む側の期待、そういうものが

入り混じったのが写真なのでしょう。

実際、同じ写真を見ても色々な判断を下す人間がいる訳です。

「ライブのチケット買えた!」とか言ってチケットの写真をSNSに上げれば、

「おめでとう!」という人もいれば、「買えなかった人の事も考えろ!」

という人もいる訳です。じゃあどうすれば意図通りの読み方…もっと言えば

読ませ方ができるのか。それはには二つの手段が合って、一つは

説明文が読み方を規定する

というのです。

例えば「笑顔でハンバーグを食べている写真」があったとして、

「料理は人を笑顔にする」という説明分と、

「牛の命のことなど考えずに笑いながら食べている」という説明文では

受け手の印象が異なります。

もう一つは

レイアウトが話を作る

というのです。

例えば、先ほどの「笑顔でハンバーグを食べている写真」の前に

「牛の写真」があったらどうなるでしょう?

それとは別に「空になったお皿の写真」があったら?

これもまた印象が変わりますよね。

 

 

で。

ここまで書いてふと

「この人がインスタとか見たらなんていうだろう?」

なんて思ったんですが、どうだろうなあ。

一枚の写真だけで、読み方を規定する事もなく、話も作られているわけでもない

写真で人が動く時代になんて言うかなあ。

何となくボロクソに言いそうな気もするんですけどね。

 

結局この本は人に勧められるものなのか?

っていうとちょっと困るんですよ…。

「写真の嘘」を見抜く方法とかを分かりやすく書いてくれるわけでもなし、

批評家的に「読み方」を教えてくれるわけで無いので、写真を撮らない人にとっては、

読む価値ってほぼ無いと思うんですよね。

じゃあ撮る人は読む価値があるのか?って言われるとこれもあやしい…。

まあ俺より写真撮るの好きな人とか上手い人とかは一杯いるから、

その人たちがどう判断するかは分からないけど、俺自身は別に読まなくても

良いんじゃないかと思う。

名取洋之助の自伝的な部分も多いし、技術的な部分はほとんどないからなあ…。

そんなわけで、「名取洋之助ファン」にはお勧めしても良いと思うけれども、

(多分読んだ事無い人いないくらいの古い本だけども)

それ以外の人は別に読まなくても良いんじゃないかなこの本。

 

写真の読みかた (岩波新書)

写真の読みかた (岩波新書)

 

 

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死神に代わってあの世に送るゲーム「Death Coming」を買ってみた。

Steamではオータムセールが開催されておりますが

store.steampowered.com

私めも1本買ってみました。それがこちら。

store.steampowered.com

Death Coming

です。

何年か前にこちらで紹介されていたのですが

automaton-media.com

「金が無い…」と嘆きながら買わずににいたゲームです。

今回オータムセールで半額になっていたので買ってみたのですが、

割と面白いぞこれ。

 

まずはゲーム画面がこちら。

f:id:takanikoniko:20191201181917j:plain

ゲーム画面

可愛さあふれるドット絵で表現されたゲーム画面とは裏腹に、死神になりかわって

「このゲーム画面内にいるターゲットとNPCを不慮の事故を装って葬っていく」

という情け容赦のないゲームです。

同じようなゲームだと刻命館影牢シリーズがありますが、

そちらは罠の種類や使用方法に設置場所などが自由に決められるのに対し、

こちらのDeath Comingはあらかじめ設置されたものを利用していく形式になります。

ではどんな罠があるのか?というと、画面右下のアイコンをクリックする事で

ステージ内にある罠のヒントが表示されます。

f:id:takanikoniko:20191201183323j:plain

罠の一覧とヒント

スタート時点では一つも見つけてないのでこの状態ですが、

すべて発見するとこうなります。

f:id:takanikoniko:20191201183521j:plain

全部見つけた!

この罠を使い、ターゲットとNPCを葬っていきます。

ターゲットを葬ると

f:id:takanikoniko:20191201183809j:plain

ターゲットを葬った!

このように特殊演出が入りますが、ターゲット以外だと…

f:id:takanikoniko:20191201183900j:plain

ターゲット以外…

このようにごくあっさりという…アーメン。

そしてターゲットとNPC合わせて一定数をあの世に送ったら、クエスト完了です。

f:id:takanikoniko:20191201184204j:plain

任務完了!

…なんだろう、死神に「残業」と言われる日が来るとは思わなかったよ。

ちなみにこの死神、予想外にひょうきんな奴で、

f:id:takanikoniko:20191201184336j:plain

失敗!

失敗するとこんなんですし。

「残業」中だと

f:id:takanikoniko:20191201184433j:plain

残業中

こんな感じで画面にいます。

(この状態の死神をクリックすると次のステージに行けます。)

二面からは妨害キャラも出てきたりと難易度があがってまだ攻略できていませんので、

ここから先はまた別の機会にできればと思います。

 

そんな感じで割と「悪」なんですが、「これでこうやって…」と考えるのが好きな人

なんかには合うんじゃないんでしょうか。

一つ気になるのが、セーブスロットが一つしかないので「1面から」と「続きから」

の2択しかないんですよね。

警告画面はでますが、間違えると完全に最初からになってしまうので

そこは要注意ですね。

セールが終了しても1000円以下で遊べるので、お暇な方はどうぞ。

退屈に関する本を読みながら退屈するとはこれいかに。 ラース・スヴェンセン「退屈の小さな哲学」感想。

ラース・スヴェンセン

「退屈の小さな哲学

 

退屈の小さな哲学 (集英社新書)

 

 

を読んだよ!

 

この本は、こっちの本で紹介されてたはず。

takanikoniko.hatenablog.com

ほとんど1年前じゃねえかよ!どんだけ積んでたんだよ!

 

とまあ1年も積めば当時の情熱も冷めようというもの。

かなりの分量を流し読みしてしまったのでざっくりとお話をば。

 

「働いたら負け」というのはもしかして真理なのでは…?

いやいや無職乙とかクソニートwwwとか言われるかも知れないが、元ネタは

こちら。

自分で自分を「徒然(たいくつ)を愛する者」と言い、友人がそんな彼を

「つまらない男」呼ばわりすると、彼は「働くのは簡単だが、本当の

怠惰は人間にとって真の挑戦だ」とやり返している。

おいこら待て!「働くのが簡単だ」とか本気で言ってんのかこいつ…?

まあ確かに「働く」というのは「やる事がある&やる事を探さなくていい」という

意味において「怠惰」よりはまだ簡単かもしれない。

何せ「何もしないで過ごす」というのはとてつもなく疲れるのである。

「テレビなし、本なし、ゲームなし、スマホなし、部屋から出ずに話相手もなし」

という状況に耐えるのはだいぶきついだろう。

俺達は働かない事に耐えられない?

当たり前やろwwwと言うかもしれないが、じゃあ宝くじで6億当てた奴とかどうすんだよ!と言い返したい…っと、そういう意味ではなく。

カント曰く

ja.wikipedia.org

人は、時間を意識するほど、空虚感を強く抱く。

唯一の薬は、気晴らしではなく労働であり、

「人間は労働しなくてはならない唯一の動物である」

「あー働きたくないー」と月曜の夜に思う人はこの世に多くいるとは思うのですが、

カントのように「空虚感を埋められる行為は労働しかない」と考えると

ちょっとはだるさがマシになるのかもしれません。

 

結局この本面白いのか?

 俺が今「退屈していない」という事もあって、刺ささらなかったんですよね…。

やっぱり暇と退屈の倫理学」の方が面白かったかなあ。

分厚いので読むのは大変だと思いますが、そっちを推しておきましょう。

 

退屈の小さな哲学 (集英社新書)

退屈の小さな哲学 (集英社新書)

 

 

暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)
 

 

 

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勝者は代償を払ったが、敗者には地獄しかなかった! ロバート・B・ライシュ「勝者の代償」感想。

ロバート・B・ライシュ

「勝者の代償

 

勝者の代償―ニューエコノミーの深淵と未来

 

 

を読んだよ!

 

著者であるロバート・B・ライシュさんはアメリカ合衆国クリントン政権下、第32代労働長官を務めた方です。

そんな人が、アメリカの経済の動き、富裕層と貧困層の二極化等について

考察したのがこの本です。

「勝者の代償とかなんやねん…」と思って読み始めましたが、

それについては「一理あるな」となりました。

しかしそれ以上に「敗者には地獄しかねえじゃねえか!」という事で

非常に読むのがつらい本だった…。

まじでどうするんだよ世界!

何が世界を変えたのか

ぶっちゃけて言えばインターネットが悪い。

今使っているこのインターネットが悪い。

インターネットが発達する事で、

いつでも・どこでも・だれとでも良い取引ができるようになった。

それはつまり「気に入らない取引相手はすぐに切れる」ということでもある。

同時に「常に気に入られていなければならない」という事でもある。

故に、「常に新しいサービス、良いサービス」を作り続けなければならない。それも「もっと早く!」である。

それはつまり働き続けなければならないということと同義なのだ。

やってられるか!しかしやらねば死なのだ…。

Googleのオフィスや社員食堂が綺麗なのは策として当然

少し前にGoogleの社員食堂が凄すぎると話題になりましたが

togetter.com

GoogleみたいなIT企業のオフィスや社員食堂がなぜ綺麗なのか。

これも【「気に入らない取引相手はすぐに切れる」ということでもある。

同時に「常に気に入られていなければならない」という事でもある。

故に、「常に新しいサービス、良いサービス」を作り続けなければならない。それも「もっと早く!」である。】

というのと関わりがあると言えるでしょう。

つまり連続して新しいサービス・製品を作り続けるという行為は、

巨大な官僚的組織には向いていない行動であり、

変人と精神分析家からなる小さな企業グループが有利である

(中略)

彼らは仲の良い友人たちと過ごす時間と同じくらい快適であるときに、

最も創造的であり、自発的となる傾向があり

ということなので、速度が重視され常に新しいものを作り続ける事ができるように

あのようなオフィスにしているのでしょう。

「勤続○○年とか無能wwww」で済めばいいが…

昨今、会社は人を減らすためにリストラをするし、若手はすぐに辞めていく…

等と嘆いている人も多かろう。

はっきり言って「お互い様」であり、どちらが悪いと簡単に決められるものではない。

確実なのは「クビにするのもやめるのも日常的な事」になりつつあるという事だ。

それはつまり雇う側にとっても雇われる側にとっても「良い取引」

(=安い人件費と高い給料)を求めての事だから当然と言えるかもしれない。

しかしこうなってくると「勤続○○年」という肩書が危ういものとなる。

それはつまり「ヘッドハンティングされなかった」「向上心の欠如」とみなされかねない。挙句に「何らかの欠陥があるのではないか」とまで言われるだろう…。

なんてこった!

本質的な贅沢?それができなきゃ「気配り」を売れ!

「本質的な贅沢」なんて単語を前にするとすぐに「コレだ!」と返すのは難しい

ように思いますが、筆者はあっさりと

本質的な贅沢とは、自分のために他の人間がその時間を

惜しみなく使ってくれる、ということである

それは同時に、贅沢ができない人間は他人のために時間を使わないと生きていけない

ということでもあります。

これを筆者は

個人的な気配りを売っていくことになる

としています。

これは「AIに仕事が奪われる!」という考え方のさらに先を行くものと言え、

「AIに代替されない仕事」としてあげられる職業の筆頭である介護・福祉などは

まさに「気配り」を売る仕事と言えるでしょう。

ただ同時に、それらは高給な仕事ではありません。なぜなのか。

第一に、比較的生産性の低いサービスである。

どうやったって対象が少ない。

例えば老人ホームなどでは月額15万~20万くらいだ。

kaigo.homes.co.jp

これで何人の従業員を養えるだろうか。

第二に、労働供給が増加している

これは企業が求人を減らしたり、AIなどを使う事で人がいらなくなったり、

共働きなどで常に人が流入しているからだそうだ。

しかし、人口減少などを考えると、日本では少し当てはまりにくいのではないか。

第三に、個人的な気配りをするという仕事は社会的にそれほど高く評価されていない

元々が無報酬であり、してもらって当然だと思われていた仕事が多いので、

評価が高くなりにくいのだそうだ。

結局、勝者は何を代償としているのか?

個人単位で言えば長時間の労働・家族との時間・常に動き続けなければならない…

という程度でしょうけれど、社会全体でみれば「分断された世界」と言えるでしょう。

早い話「世界を食いものにしている」と言えます。

まあ当人たちにとっては「何が悪いwwwwww」とか「やらないとかダサwwww」

とか「身の程しれよwwww」くらい心の底からバカにできるんでしょうけど。

はっきり言って読むのつらいし、いい気分にならないし、お先真っ暗な事しか

書いてないから人に勧められないんですけど、今後の社会を考える上では大切な

本だと思うので、少しずつでも読んでもらえたらいいかなと思います。

 

 

 

勝者の代償―ニューエコノミーの深淵と未来

勝者の代償―ニューエコノミーの深淵と未来

 

 

 

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博物館収蔵室より 「標本の本」感想。

 

「標本の本―京都大学総合博物館の収蔵室から

 

標本の本―京都大学総合博物館の収蔵室から

 

 

 

を読んだよ!

 

 

博物館は入館料などを払って見るのが一般的ですが、「表」には出ていない

膨大なコレクションが納められている「収蔵室」などがあります。

この本は京都大学総合博物館の収蔵室と、そこに納められている物についての

写真集と言えます。

www.museum.kyoto-u.ac.jp

 

以前読んだ

takanikoniko.hatenablog.com

こちらとは対象が「標本」という点では少し似ています。

BONES」と「REAL BONES」が標本とその造形に対して主眼を置いていますが、

今回の「標本の本」は標本と博物館の機能に対して主眼を置いていると言えるでしょう。

 

本の内容ですが、「標本の本」というタイトルどおりに陸・空・海を問わず

様々な動物・植物・鉱物の標本や教育用の模型にスケッチの写真が納めれており、

それぞれにコメントがつけられています。

コメントは「この動物は~」という生物に対してではなく、もうすこしエッセイに

近い感じで書かれています。

そのため、読んでいても「分けが分からない…」というような事にならず

すらすら読めます。

 

そしてこの本が所謂写真集で収まらないところが、最終章として

実際に標本をつくる過程が書かれているところです。

河川敷に罠を仕掛けてネズミを捕獲して剥製にしていく過程が

写真とスケッチによって描かれています。

「それやるんだ…」と思ったものの、「それ」なくして標本も存在しないのだから、

「標本の本」としてはある方が良いと思います。

 

 

剥製や骨格標本の写真もあるので、苦手な人もいるでしょうから

気軽にお勧めしにくい本なのですが、博物館好きな人であれば楽しめるでしょう。

新装版も出たみたいなので気になる方はどうぞ。

 

新装版はこちら。

 

今回読んだのはこっち

標本の本―京都大学総合博物館の収蔵室から

標本の本―京都大学総合博物館の収蔵室から

 

 

 

  

 

 

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