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写真の読み方なんて存在するんか… 名取洋之助「写真の読み方」感想。

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名取洋之助

「写真の読み方

 

写真の読みかた (岩波新書)

 

 

 

を読んだよ!

 

まず著者の名取洋之助さんについての詳細はwikiを紹介するとして、

ja.wikipedia.org

超ざっくりと紹介すると、戦前戦中戦後と激動の時代に報道写真を主に扱い続けた

写真家です。

この本は、本人の遺構を元に構成されています。

写真に対する考えと、紙面に載せる際の技術的な面という

二つの事に対して書かれた本といえるでしょう。

あくまでも「読み方」であって「撮り方」ではないのですよ、この本。

 

さて、本のタイトルは「写真の読み方」ですが、そもそも

「写真に読み方」なんてあるんかいな?

という話ですよね。

読み方なんてあるのかないのか。結論から言うとあります

もっと正確に言えば「写真の嘘を見抜く力」とも言えるでしょう。

私たちの目にふれる写真は、カメラマンと、

カメラが写した写真を使う編集者と、

編集者がいつも念頭においている読者と、

この三者が要求する嘘の統合された結果

と著者は言っています。

カメラやレンズの性能、編集者の説明書き、読む側の期待、そういうものが

入り混じったのが写真なのでしょう。

実際、同じ写真を見ても色々な判断を下す人間がいる訳です。

「ライブのチケット買えた!」とか言ってチケットの写真をSNSに上げれば、

「おめでとう!」という人もいれば、「買えなかった人の事も考えろ!」

という人もいる訳です。じゃあどうすれば意図通りの読み方…もっと言えば

読ませ方ができるのか。それはには二つの手段が合って、一つは

説明文が読み方を規定する

というのです。

例えば「笑顔でハンバーグを食べている写真」があったとして、

「料理は人を笑顔にする」という説明分と、

「牛の命のことなど考えずに笑いながら食べている」という説明文では

受け手の印象が異なります。

もう一つは

レイアウトが話を作る

というのです。

例えば、先ほどの「笑顔でハンバーグを食べている写真」の前に

「牛の写真」があったらどうなるでしょう?

それとは別に「空になったお皿の写真」があったら?

これもまた印象が変わりますよね。

 

 

で。

ここまで書いてふと

「この人がインスタとか見たらなんていうだろう?」

なんて思ったんですが、どうだろうなあ。

一枚の写真だけで、読み方を規定する事もなく、話も作られているわけでもない

写真で人が動く時代になんて言うかなあ。

何となくボロクソに言いそうな気もするんですけどね。

 

結局この本は人に勧められるものなのか?

っていうとちょっと困るんですよ…。

「写真の嘘」を見抜く方法とかを分かりやすく書いてくれるわけでもなし、

批評家的に「読み方」を教えてくれるわけで無いので、写真を撮らない人にとっては、

読む価値ってほぼ無いと思うんですよね。

じゃあ撮る人は読む価値があるのか?って言われるとこれもあやしい…。

まあ俺より写真撮るの好きな人とか上手い人とかは一杯いるから、

その人たちがどう判断するかは分からないけど、俺自身は別に読まなくても

良いんじゃないかと思う。

名取洋之助の自伝的な部分も多いし、技術的な部分はほとんどないからなあ…。

そんなわけで、「名取洋之助ファン」にはお勧めしても良いと思うけれども、

(多分読んだ事無い人いないくらいの古い本だけども)

それ以外の人は別に読まなくても良いんじゃないかなこの本。

 

写真の読みかた (岩波新書)

写真の読みかた (岩波新書)

 

 

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