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心理学者、強制収容所を体験する。 ヴィクトール・E・フランクル 「夜と霧(新版)」感想。

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ヴィクトール・E・フランクル

「夜と霧

夜と霧 新版

 

を読んだよ!

何故「夜と霧」なのか

まずは、何故タイトルを「夜と霧」としたのかと問いたい。

原題の「心理学者、強制収容所を体験する」に比べて分かりにくいではないか。

www.sinkan.jp

どうやら、同じく第二次世界大戦中にドイツが行った強制収容についての映画ならびに

大元となった法律

ja.wikipedia.org

を元につけられたタイトルらしい。

なるほど。

「言語を絶する感動」か?

いわく、この本は「言語を絶する感動」らしい。

そうか?

まあ感動の度合いなんて読む人次第だからいちいち言う事でもないか…と思ったが、

いやいや、もしかして俺はとんでもなく精神がおかしくなった可能性もある。

どういう事だと調べたら、原著は一度改定されており、

日本に初めて登場したものを旧版・今回読んだものが新版なのだ。

版の違いが感動の違いを生み出しているのかもしれない。

「夜と霧」とはなにか?

wikiによれば「文学」とされている。

「文学」という定義はあやふやだが、この作品を文学というカテゴリーに属させるのは

どうにも落ち着かない。

日本昔話やハリー・ポッターのような物語ではないし、エッセーかと言われると

少し違う気がする。

個人的には、これは「科学」の分野に属するものではないかと思っている。

それは「心理学者が強制収容所に収容されて体験したことを分析」しているからだ。

 

この本は全体を

  • 心理学者、強制収容所を体験する
  • 第一段階 収容
  • 第二段階 収容所生活
  • 第三段階 収容所から解放されて

の4ブロックに分けられている。

大きく分けると半分は著者の体験、もう半分は分析と言ってしまっていい。

故に、この本は「必要なところだけ読む」という手段が通用しない。

後半を理解するには前半を読む必要があるのだ。

 

では、

この本は何を目的とするのか。

収容所で被収容者を打ちひしぎ、ほとんどの人の内面生活を

幼稚なレベルにまで突き落とし、被収容者を、意思など持たない、

運命や監視兵の気まぐれの餌食とし、ついにはみずから運命をその手で

つかむこと、つまり決断をくだすことをしりごみさせるに至る、

感情の消滅や鈍磨について述べてきた。

これが後半の開始となる文章だ。

つまり「極限状態に置かれた人間の感情の消滅や鈍磨と、それを復活させる方法」

を探ることがこの本の目的としてよいだろう。

苦しみから抜け出せない人生に意味はあるのか

かなり大きな問いだ。著者が本当にこう回答しているのか自信がないが、

言わせてもらおう。

NOだ。意味などない。

抜け出せるかどうかに意味がある生など、その意味は偶然の僥倖に

左右されるわけで、そんな生はもともと生きるに値しないのだから。

…いや、この回答は「あり」なのか。

まあ俺が読み違えている可能性だってあるしな…。

生きることの意味を問うな!

「生きてる意味がわからない…」とか「なんで生きてるんだろう…」等は

よく見る台詞であり、一つの問いだが、ここでも

もういいかげん、生きることの意味を問うことをやめ、

私たち自身が問いの前に立っていることを

思い知るべきなのだ。

意味が分かりませんが!著者いわく

生きる意味についての問いを百八十度方向転換することだ。

であり、

哲学用語を使えば、コペルニクス的転回が必要

なのだ。すなわち簡単にできることではないことの証明でもあると思う。

生きる意味を一般論で語ることはできないし、この意味への

問いに一般論で答える事もできない。

人間とは

人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。

人間とはガス室を発明した存在だ。

しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りの言葉を口にする

存在でもあるのだ。

まとめ

 「名著」とされる、この「夜と霧」。呼び名に違わずいい本です。

強制収容所での悲惨な生活をどの様に過ごしたか、どの様に精神を保ったか

克明に記録されています。

とにかく最初から最後まで全部読んでほしいですが、

どうしてもいやだ、そんな面倒な事してられるか!という方は

(この本を読む苦労など著者が味わったものに比べたら大した事はないはずですが)

第二段階の「いらだち」からでもいいので読んでみてください。

得るものは必ずあります。

 

夜と霧 新版

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