さあ仕事を探そう! 佐藤満彦「ガリレオの就職活動 ニュートンの家計簿」 感想。
ガチニート時代に読みたかったけどお金がなかった本シリーズ第43弾
佐藤満彦
「ガリレオの就職活動ニュートンの家計簿」
を読んだよ!
どうして読もうと思ったのか?
あの偉人達も就活大変だったのかな?じゃあ俺が仕事ないのも当然だよな!
で、実際どんな感じで就活したのか気になる!
ざっくりまとめ
偉人も世渡りは大変だ!
もうちょっと詳しく
タイトルから想像される「偉人達も苦労したんだなあ」というこの本のイメージは大外れではありませんが、誇張であるのは事実です。
この本の実体は「科学史」であり「科学者史」です。メインとなるテーマは
「職業としての科学者はいかにして成立したのか?」です。
同時に、幾人もの科学者の伝記でもあります。
章立ては3つ
時代の流れに沿って、以下の3つの章に分かれています。
- パトロンに仕える学者たち
- パトロンから独立する科学者たち
- 職業科学者への道
そして各章の中で、研究分野や科学者ごとに分かれていきます。
本の中身は?
偉人の伝記と言えば
「この人はこんな努力をした・こんな苦労をした・だから偉大な成果を残した」
というのが一般的な形でしょう。
しかし、この本はそんな事は書きません。ただひたすらに裏側を書いていきます。
批判・中傷・金策・就活等々、これでもかと言わんばかりです。
上の「この人は…」を借りるとすれば
「この人はこんな努力をした・こんな苦労をした・だから偉大な成果を残した」
と言って良いでしょう。
気になるエピソード紹介
ルターもコペルニクスを叩いた
宗教改革という風…いや暴風雨を巻き起こしたルターもどうやら新しかったのは宗教に対してであって、科学に対してはどこまでも聖書が正しいと思っていたらしい。
地動説を唱えたコペルニクスに対して、
このバカは天文学の全知識をひっくり返したがっている!
ひっくり返すのは事実だがバカはないだろう。
反逆者パラケルスス
某ソシャゲでは魔術師扱いだが、本では医学者として紹介されている。
当時学術言語としてラテン語を使う事が決まっていたが、講義をドイツ語でおこなったり、医学の書物(記述は間違いだらけ)を炎の中に投げ込んだりしている。
我は医学の独裁君主なり
とは彼のセリフだが、有能なだけならともかく唯我独尊を地で行く人物だったらしい。
君、バーサーカー適正持ってるんじゃないか?
性格の悪いニュートン
リンゴの実が地面に落ちるのを見て、万有引力を発見した科学者(どうやらこの話は創作らしい)だが、性格は悪かったらしい。
「いたずらに地位を欲しがり、中央政界にも足を踏み入れたがった」
「権威を笠にきて同僚との諍いを絶えずひきおこした」
造幣局長官になって政界入りしているのは事実である。
まとめ
あまり書かれることのない科学者の裏側が知れるので、伝記として面白いです。
一方で裏側にページ配分割いたためか(第1章で全体の3分の2)、「職業としての科学者」の部分がダイジェストになってしまっています。
タイトルもその関係でインパクト重視でつけたのではないでしょうか。
新書としては厚めですしスラスラ読める類ではないですが、「人間」としての偉人に迫った本は珍しいと思うのでおすすめします。