【書評】就職も先送りさせてください「すべては先送りでうまくいく」感想。
フランク・パートノイ
『すべては「先送り」でうまくいく』
を読んだよ!
どうして読もうと思ったのか?
そもそもの始まりは
年末年始の大掃除の時に発掘して、読み返したら
「ファーストチェス理論」というものが載ってまして。
ちょっと面白そうじゃんって思ってGoogle先生で検索したんですが、
碌なものがヒットしねえ!
意識高い人たちの好きそうな単語なのに、碌なエビデンスがねえじゃねえか!
しかも数値もあやふやとか大丈夫かこの理論。
といった感じでぐぐっていたら見つけたのがこの本です。
(なお、この本にはファーストチェス理論については一切記述がありません。)
ざっくりまとめ
「めんどくさいから明日でいいや~」って事を肯定してほしいなら、
この本を読むな!
あくまでも「意志決定とタイミング」に関する本だ!
もうちょっと詳しく
多くの人が思い浮かべる「先送り」とは
「やらなければいけない事を後にしてどうでもいい事を今やる」
ことだと思います。
この本の中で、それについて触れているのはほんの一部分です。
この本で触れているのはアスリートの1/1000秒(ミリ秒)の世界に始まり、
10年単位での商品開発時間など様々な時間と決断のお話です。
アスリートの1/1000秒
アスリートは1/1000秒の世界で何をしているのか、テニスが例に挙げられています。
プロのテニスプレイヤーはリターンを返す時、
200ミリ秒で「見る」
200ミリ秒で「準備」
100ミリ秒で「打つ」
という動作をしているそうです。まじかよ。
ここでポイントなのが二つ目の「準備」だそうです。
普通の人は200ミリ秒で「見」て300ミリ秒で「打つ」。
この「打つ」を最大限「先送り」することで「準備」する時間を作り出せる事が、
プロをプロたらしめている理由だそうです。
ファーストフードは人を加速できるのか?
「ファーストフードに行くと、ろくに味わずぺろりと食べてしまう。
もしかして、ファーストフードは人を加速する事ができるのではないか?」
実はサブリミナル効果によって、速く食べるようになっているのではないか?
と疑問を抱いた人がいました。サブリミナル効果 - Wikipedia
早速実験。
「ファーストフードのロゴを見ると文章を読む速さはかわるのか?」
結果はYES!なんと2割も短縮されたのです。
しかし一方でデメリットもあります。
「ファーストフードのロゴを見ると心の余裕がなくなる」。
これは、ロゴを見たことで加速された感覚が、風景の写真を見たり音楽を聴くと
不安を感じるようになってしまったらしいです。
時には落ち着くものを見て、時間の感覚を正した方がいいのでしょう。
あてにならないベテランの直感、「突っ立ってないで動け」という最悪
『救命救急士と心肺蘇生講座の指導員に「6人の人間が心肺蘇生法を行っている」ビデオを見てもらい、「自分なら誰にやってほしいか」を選んでもらう。ただし、6人のうち本物の救命救急士は1人だけ』
という実験が行われました。
救命救急士の90%が本物の救命救急士を選らんだのに、講座の指導員は30%でした。
指導員は正しい蘇生法を教える資格をもっていたのかもしれないが、
現実の場面で迅速な判断を迫られると、素人になってしまっていたのだ。
もうひとつ「ベテランが素人になる」例として、
イラン航空655便撃墜事件が挙げられています。イラン航空655便撃墜事件 - Wikipedia
内容には詳しく触れませんが、
強烈な時間的プレッシャーのもとではじめてのシナリオに直面した艦長は、素人なっていたのである。
そしてもうひとつ。
その分野のエキスパートでもなく、合理的に選択肢を比較・選別する時間もない時、最善の道は往々にして何もしないことだ。
素人は間違った行動に出やすいので、たいていはまったく動かないのがt出しい動きなのだ。(中略)
一流の医師のあいだでは「何かをしようとするな。ただその場にいろ」という格言がよく言われるらしい。
すぐに謝るのはいつでも正しいのか?
大体の人はこう教わる。「人を怒らせたらすぐに謝りなさい」。
本当にそうだろうか?答えはNOである。
自分の加害行為が意図的でなく、相手を特定して攻撃したわけではない場合、(中略)ただちに「申し訳ありません」と口に出すべきだ。だが、それ以外の状況では、即座の謝罪は効果が低くなったり、中身が伴わないものになったりする危険性がある。
そして、謝罪を極めるための4つのチェックリストとして
1.自分がその行為を行ったと認める
2.起きたことを説明する
3.自責の念を示す
4.可能な限りダメージ修復に努める
以上4ステップを紹介しています。
…あれ、もしかして「はれのひ」の社長の謝罪のやり方って実は
作戦通りなのか…?
10年かけて生まれるイノベーションを待てるか
ポストイットの開発話はイノベーションの例として使われていますが、
発売までに長い時間が費やされています。
その長い時間を経営陣が評価するか?と問われると、
「しない」と返ってくるでしょう。
逆にいえば、「もうイノベーションは生まれない」と言えるでしょう。
まとめ
普段想像する「先送り」という単語からは離れている中身なので、
「やらなければいけないことを後回しにする方がよい」
という結論が欲しい人は読まない方がいいです。
一方で、衝動的な部分があると自覚がある方はこの本が役に立つかもしれません。
最後に一言、著者の言葉を紹介しておきましょう。
待て。
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