【書評】”ほんもの”ってなんだろう? マージェリィ・W・ビアンコ『ビロードのうさぎ』感想。
マージェリィ・W・ビアンコ
『ビロードのうさぎ』
を読んだよ!
この本つながりでもう一冊。
原作者さんが1944年に亡くなっているので、かなり古い本になります。
俺が手にしたのは、2007年に初版が出版されたものですね。
それなのに63刷目とかどんだけ凄いんですか。
さて、この本はうさぎのぬいぐるみと、それをもらった男の子とのお話です。
男の子はうさぎのぬいぐるみを貰って喜ぶのですが、また別のおもちゃを貰い、
そっちに夢中になります。
すっかり部屋のすみで置いておかれているうさぎは、別のおもちゃ達から
ばかにされてしまいます。
ある日、家政婦さんによって偶々男の子と寝る事になったうさぎ。
その日から男の子とうさぎは仲良くなっていきます。
しかし男の子は病気になり…というのがおおまかなあらすじですね。
個人的に気になったのは、
うさぎを「ほんもの」として扱う男の子と、あくまで「おもちゃ」としか扱わない
家政婦さんとのギャップ。
それから「ほんものとはなにか?」ですね。
それに他のおもちゃ達から「ほんものではない」と言われ、
生物としてのうさぎ達からも「ほんものではない」と言われたうさぎ。
唯一男の子だけは「ほんもの」と扱うのですが、
じゃあ「ほんものとはどういう状態のものをさすのか?」という疑問に
答えが欲しくなります。
主観において「ほんものである」ものは客観において「ほんものではない」
という事が成立しうるという事ではあるんですけどね。
このあたり、人形メディア学でも触れられているのでそちらも読んでみてください。
なお、物語の結末は「もしかしたら日本人なら改変するかもしれないなあ」
と思っているのですが、他の人はどう思っているのだろう。
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