希望格差社会 を読んだよ!
ガチニート時代に読みたかったけどお金がなかった本シリーズ第22弾
希望格差社会「負け組」の絶望感が日本を引き裂く
を読んだよ!
ざっくりまとめ
現在の日本は将来に希望を持てる人と持てない人に分裂していっている。
それを希望格差社会と名付ける。
「将来に希望が持てる」ように社会システムを構築しなければならない。
もうちょっと詳しく
日本における3つの不安定化
著者は「パラサイト・シングル」や「婚活」という単語を生み出したことで知られているそうです。単語は知ってましたけど、作った人までは知らなかったなあ。
この本はその人が日本の社会における格差について書いた本です。
まず、日本社会がリスク化しているとしています。
つまり大卒→終身雇用→年金生活のコースが崩壊しているとしています。
これは2017年現在では当然ですが、書かれたのが2004年なのでしかたないですね。
また二極化しているとも言っています。
収入額において「量的」「質的」に二極化しているとしています。
「量的」とは金額のことで、いわゆる正規・非正規の収入の差だと思ってください。
「質的」とは実質生活の事で、一人暮らしのために裕福でない人と実家にいるために裕福な人の差だと思ってください。
(著者はこの「質的な差」を個人の通常の努力では乗り越えることが不可能という意味でも使っています)。
そして、職業の不安定化→家族の不安定化→教育の不安定化と続いていきます。
自分は無職なので職業の不安定化についてもうちょっと詳しく書きますね。
職業の不安定化について詳しく
この職業の職業の不安定化については、「雇用の不安定化は景気が回復すれば自然と問題が解決するというのは誤解である。」とばっさり切っています。
ここを読むと「ああ、もう無理なんだな」とすさまじい絶望感に襲われたので、多めに書きます。
昔は物が無かったので作ったら作った分だけ売れました。ところが今は物があふれているので、所有物に人との差異を求めるようになるとしています。
(インスタ映えするのを求めるようになったと思えば分かりやすいです)
そうなると雇用者が企業に「オタク的に物事の可能性を追求する能力」「人々が何を望んでいるかを的確に把握す能力」の二つを要求されるようになり、これがないと生き残れないと言います。
その一方で商品を安く提供する競争は激化し、世界中から高品質・安価な物や部品が調達できるようになったので労働力のコストを下げる圧力が大きくなるので労働力の二極化が進んでいきます。
こうしてクリエイティブな能力や専門知識を持った労働者とマニュアル通りに動く労働者の両方が必要になったため「仕事が二極化」します。
そうなると雇用も二極化します。一方は他社に取られないように給料を上げざるを得あないし、コストを下げるために他方は派遣社員やアルバイトに置き換えないと企業自体が生き残れなくなります。
こうなるともう構造自体が置き換わってしまうので、景気の問題ではなくなってしまうので「雇用の不安定化は景気が回復すれば自然と問題が解決するというのは誤解である。」と言い切れるのでしょう。まったくもって同感です。
そして希望の喪失へ
職業の不安定化については立場上多く書きましたが、その後も「家族の不安定化→教育の不安定化」と日本社会とこの本を読む人を絶望に叩き込んでいき、最後に希望の喪失にたどり着きます。
かつては宗教によって「今頑張れば来世で救われる」という希望がありました。
宗教の力が弱くなり、「今頑張ればいい暮らしができる」という希望がありました。
そして今は「努力したって無駄」な事が多くなりました。
そのため、将来に希望が持てないようになりましたとさ。
が、問題はそこで終わらなかった。
これが全員ならまだ話は最悪ではあるが単純だったのだが、極めつけはここでも「二極化」が進んでいる事です。
恵まれた親や優れた能力を持つ人間は「努力が報われやすくリスクが少ないルート」を勧めますがそうでなかった場合は「努力が報われずリスクが大きいルート」を進まざるを得ず、そうなった場合は絶望や逃走するしかないとしています。
例として依存・新興宗教・犯罪・自殺があげられています。どれも今問題になっていますね。
どうすればいいのか
著者は、今とられている個々の対策をそこまで否定しているようではない。
けれど小出しすぎてうまくいってないように見ているようだ。
またインパクトのある政策として若者のための「逆年金」を提言している。
ただ、ここまでインパクトのある事をしないとダメと言っているあたり、もうダメなんだろうなあ。
絶望した。
今の社会問題、雇用や格差に興味ある人にはおすすめです。
「今の若者は…」とグダグダ言ってる人にもおすすめです。
現在無職・ニートの人には読むと死にたくなるのでおすすめしません。
あと、高校生くらいまでなら読書感想文の題材にどうぞ。
まだ人生に取り返しがつく間に読んでおいてください。
俺は遅かった…。