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【書評】100年近く読み続けられる”芸術の魂”とはなにか? ロバート・ヘンライ『アート・スピリット』感想。

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ロバート・ヘンライ

『アート・スピリット』

 

を読んだよ!

 

  

ざっくりまとめ

画家が追い求めた”美”や”幸福”とは何だ?!

もうちょっと詳しく

ロバート・ヘンライ(1865-1929)はアメリカの画家であり、美術学校の教師

だった人です。

 

その講義や書簡をまとめたのがこの本です。

「画家の講義」なんて絵を書かない奴が読んでも面白いか?と

思うかもしれませんが、これは滅茶苦茶面白いですよ!

著者のはしがきで

ここにあげた意見に読者のすべてが賛同するとは思わないし、

助言に従う必要もない。

ここに書かれたことに腹が立って、全く反対の行動をとりたくなっても、

それはそれでかまわない。

自分の著作をこういう風に言い切る人、大好きです!

いや、いくらなんでも扱いが悪くね…?と思ったら、この続きがあって

本書の主題は美である―または幸福といってもいい。

美や幸福にいたる道筋は一つではない。

となるのだから、この客観さがすごいですよ。

ぼっち万歳?

「友達なんかいない…」「家に帰っても一人」「クリスマス?一人だけどなにか?」

等々、「ぼっち」を嘆く台詞は多々ありますが、

いろいろな意味で、孤立する事を覚悟しなければならない

とぼっちになることを覚悟せよと言い切ります。

人は共感を求め、仲間を欲しがるものである。

一人でいるよりも、仲間といるほうがずっと楽だ。

だが、一人になって初めて、人は自分をよく知り、成長できる。

大勢に囲まれていたら、成長が止まってしまう。

おまけに「成長したければぼっちになれ」みたいな事までいいます。

まーたしかにRT稼ぎとか、ウェーイみたいな感じの人って本人は

「そこまでか…?」な人もいますしねえ…。

てことは、人脈多くてSNSアカウント強者で成功してる人って、

ものすごい成功者なのでは…?

「社畜vsフリーランス」?

人間には二つの階級がある。その一方は、アイデアをもち、

多分それを心から信じているが、「成功」を手に入れるために、

それを修正する。

もう一つの階級の人びとは、信じられるアイデアを持ったら、

最後までそれを信じとおす。成功しようが失敗しようが関係ない。

先にあげた階級は、世間の大多数を占める。

そして、彼らはみな奴隷である。

第二の階級だけがこの世における完全な自由人である。

ここだけならば「社畜はクソ!フリーランス万歳!」

で終わりなんですが、そうではなく。

ひどい貧しさから脱けだせない人々がいる。

監獄に送られる人々もいる。

とちゃんと書いてあるあたり抜かりは無いですね。

戦え!そして諦めろ!

画家の書いた本なら「芸術は素晴らしい!絵を描いて生きていける!」

なんて書いてあるかと思いきや、超現実的な事が書いてあります。

ものごとはなるようになる。

芸術家の人生は一つの闘いであり、そこでは大きな経済活動が

くりひろげられる。

それは、この世の重荷にもかかわらず、純粋な自由の瞬間のなかで

得られるたぐいの経済である。

はあ。あーなるほどそういうことねー(分かってない)。って読んでいたら、

いきなり殴りかかってくるのがこの本。

人が画家と称するなら、その人が絵を描くとき、そこには

この純粋な自由が存在するはずだ。

つまり、画家は画家として生計を立てることをあきらめ、他の手段で金を稼がなければならないということだ。

これはおおむね真実である。

おおおおーい!そんな夢をばっさりと切り捨てて良いんかーい!

と思ったものの、これをきっちり書いてあるあたりが読み続けられる本である

理由かもしれません。

まとめ

「画家の講義」をまとめた本という事で、ひたすら線の書き方や色の使い方等を

書いた本かと思いきや、その実体は人生への熱い思いとも言えます。

やさしいだけでなく厳しい事も書いてあり、教師として知られる著者の

本領発揮と言えるでしょう。

絵を描く人だけでなく、ハンドメイドが好きな人にもお勧めです。

 

 

 

 

 

 

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